
「パチーノと“XX”したら・・」 by heavysoul 1998
毎週日曜の昼12:00から、WOWOW(日本衛星放送)で「シネマ・シネマ・シネマ」という(ノンスクランブルだから未加入でも見られる)全米映画興行成績ベスト10と最新情報を流す番組がある。先日、いつものように眠い頭でボーっとしながら番組を観ていると、エンド・タイトルの途中でナビゲーター役の声優さんが云った。
「ねえねえ、気が付きました?“ジョン・グッドマン”、いっぱい出てましたね」
そ、そう云えば、確かに・・。(ジョン・キャンディ亡き今、唯一と云っていい)巨漢の姿が何度も何度も、そのたびに違う格好をしてブラウン管に映っていたぞ!。
「ブルース・ブラザース」の続編、コーエン兄弟の新作コメディ、家に小人が住んでいるSFX童話・・。ジャンルが全く異なり、求められる演技も異なる三作品にグッドマンは出ていた。(幼い娘の将来を“見届けるために”ダイエットしているはず?の)巨体を揺らし、抜群の歌唱力と踊りを披露しながら。
唐突だが、ここで現在、ハリウッド映画界における堅実に出演作の続く、所謂「売れっ子」で尚且つ、演技的評価も高い俳優たちの名を挙げてみよう。
ジョン・BIG・グッドマンの他には・・サミュエル・L・ジャクスン、ケビン・スペイシー、エレン・バーキン、クリス・オドンネル、ショーン・ペン、ダニー・アイエロ、エド・ハリス・・。 彼らは皆、同じ経歴を持っている。それはアル・パチーノと“XX”したことがあるのだ。それも、まだ人気が爆発する前の段階で。
例えば、今や異様な役柄の広さを誇る超人気俳優サミュエル・L・ジャクスンはと云えば、「Sea of Love」の冒頭シーンでの、たった三つのXXだった。そのジャクスンと「評決の時」で共演したケビン・スペイシーの場合、「Glengarry Glen Ross (邦題:摩天楼を夢見て)」で杓子定規な(日本人的)上司役でパチーノと(これも台詞が多いとは言えない)XXする役だった。しかし、彼らはその役以降、順調にキャリアを重ね、飛躍した。 また、パチーノと“XX”したことを契機に演技の質が変化した者もいる。
「デッドマン・ウォーキング」で(どう見てもアカデミー賞を授賞したS・サランドンより遥かに)素晴らしい演技をみせた、ショーン・ペンがその一人だ。彼はデビュー時から注目され、才気に溢れていたが、もう演技はしないとの公言を翻して出演したパチーノとのXX作「Carlito's Way (邦題:カリートの道)」を経て、明らかに変貌を遂げた。エキセントリックな魅力が洗練され、よりその危険度が、その完成度が高まったのである。勿論、彼らの飛躍の原因がすべてパチーノにあると云いたい訳ではない。ただ、同じ演技者として、パチーノとのXXが持つ意味は、彼らのその後の経緯を見ている限り、とてつもなく大きくて、重要な何かを相手に与えるらしい・・ ということだけは、どうやら間違いないようである。
「第二のパチーノ」と評されるガブリエル・バーンを私生活で夫に持つエレン・バーキンは「Sea of Love」で本家パチーノとXXしたが、ラスト近くで彼に激しく詰め寄られるシーンについてこう回想している。「あの時、私・・アルに本当に殺されちゃうんじゃないかって思えて、・・心底、怖かったわ」
カメラも照明も、台本も、何もかもを相手役の脳裏からかき消してしまう、パチーノの容赦ない演技力。そんな相手とXXするのって、やっぱり大変そうだ・・。一度でもXXしたら、死ぬまで絶対に忘れられないだろうな。【了】